COLUMN
パスワードマネージャーとは——なぜ「覚える」をやめるべきか
「サービスごとに別のパスワードを」とよく言われますが、10も20もあるアカウントのパスワードを、すべて頭で覚えておくのは現実的ではありません。この矛盾を解決するのがパスワードマネージャー(パスワード管理アプリ)です。
やっていることはシンプル
パスワードマネージャーの役割は、大きく2つです。ひとつは、サービスごとの複雑なパスワードを生成すること。もうひとつは、それを暗号化した状態で保管し、必要なときだけ呼び出すことです。利用者が覚えておく必要があるのは、マネージャー自体を開くための「マスターパスワード」1つだけになります。20個のパスワードを覚える代わりに、1個の強いパスワードを覚えればよくなる、という発想です。
安全性の根拠
まともなパスワードマネージャーは、保管されたデータをゼロ知識暗号化という方式で扱います。これは、サービス提供者自身もマスターパスワードを知らず、復号できないという設計です。つまり、マネージャーの運営会社がサーバーごと攻撃されても、暗号化されたデータの塊が漏れるだけで、中身までは読まれません。もちろんマスターパスワード自体が推測されれば意味がないため、これだけは長く・他で使っていない・記憶に頼れるものにする必要があります。
ブラウザ内蔵の保存機能との違い
ChromeやSafariにもパスワード保存機能がありますが、専用のパスワードマネージャーとの違いは、対応環境の広さと機能の作り込みです。専用アプリは複数のブラウザ・OS・スマホをまたいで同期でき、パスワードの強度診断や、同じパスワードの使い回し検出、漏えいしたパスワードの警告といった機能を備えていることが多く、セキュリティ運用の中心に据えやすい設計になっています。どちらを使うにせよ、「何も保存せず頭で覚える」よりは大きく安全です。
導入の始め方
いきなり全アカウントを移行する必要はありません。まずはメールアカウントなど、他のサービスの復旧に使われる重要なものから始め、ログインするたびに1つずつ専用パスワードへ切り替えていくのが現実的です。新しく作るパスワードは、当サイトのパスワード生成で作成し、そのままマネージャーに保存する流れがスムーズです。今使っているパスワードが弱くないかは、同ツールの強度チェックで確認できます。あわせて、二段階認証も設定できるサービスから有効にしておくと、さらに安心です。